京うちわは「都(みやこ)うちわ」とも呼ばれ、京都の歴史に育まれながら、京都の伝統工芸品として、繊細優美を極め、高度の技術の伝承によって今日の姿をとどめています。
中国から朝鮮を経て伝わり、奈良時代に貴族の間で用いられたのが始まりです。
団扇は涼をとるばかりでなく、高松塚古墳の壁画にみられるように、風や光、塵を防いだり、顔を隠したり装飾品としてもよく利用されていました。
戦国時代には武将の軍配としても用いられました。
Features
団扇面と把手が別に作られ、細い骨を一本づつ放射状にならべて、あとから柄をつけた構造。
柄は孟宗竹・杉・漆塗などで用意され、紙は主として美濃・土佐・越前の和紙を用います。
人物・風景・俳句・和歌などさまざまなモチーフを、描絵・版画・手染・手彫などそれぞれの技法を活かして表現しています。
Flow
4~5年物の真竹を原料に、丸い竹を節を避けて輪切りにし、縦に短冊状に切り分けます。
弧になった部分の皮と身を四角く取り切り揃えます。
端に切れ込みを入れ、手で揉んでうちわ骨を細く割きます。
厚さを揃えて骨の完成です。
出来上がった骨は一辺に糊を付け、一本ちぎっては紙の上に放射状に並べていきます。
張り工程
うちわの上絵は越前・越中や美濃、土佐の和紙を使い、
日本画の上絵を載せたり、木版や印刷、染めなどで色を載せたり、あるいは友禅の型紙や伊勢型紙の技法で透かしで草花や風景を表現します。
うちわの骨の部分に糊を付け上絵を載せていきます(合わせ)
骨と和紙をしっかりとつけ、出来上がったうちわがしなり良くなるよう竹のへらで骨を際立たせます(念付け)
柄の刺さる部分に蒲鉾型の布や紙を張り(元板付け)
うちわの形に抜いてから、周囲に薄くて細い紙を貼ってゆきます(ヘリ取り)
合わせ / 念付け / 元板付け / ヘリ取り
最後に木や竹の柄を挿して完成です。